くろねこの涙

レーシック難民になってからの記録

そうだ、ジャングルへ行こう! @ Level 2.8

かなり昔の話。

ある時、何かの話の流れで「もし私だったら、自殺したり、ホームレスになる前に、南の暖かい島に逃げてしまうなぁ」と言った事があった。当時仲が良かった苦労人のおばさんはそれを聞いて、「自殺したり、ホームレスになってしまう人は、最後まで何とか、自分が今生活しているその場所でどうにかしようって、四六時中頭ン中でもがいているもんなんだよ」言った。

今になるとそれが分かるような気がする。この眼をどうにかしようと、足りない知恵や行動力をかき集めて治療や行政への訴えに奔走していたこの夏、南の島に逃げようとは一切思えなかった。熱海に逃げようとさえ、思えなかった。

ところがまぁ今回、出張と出張の合間にぽっかりと空いた数日間が発生。日本に戻るには日数が少なすぎて、次の目的地に行くにはそこがほとんど魅力的な場所じゃない、という状況に陥ったため、南の島に逃げることにした。

いつもは貸し切りのイベントで、スーツにパンプスでホテル内を駆けずり回るだけの「南国のリゾート地」に、人生で初めて「観光客」として滞在した。思い付きで選んだ島だったけれど、ジャングルと海と熱帯魚とヤシの木という典型的な「パラダイス」で、我ながらびっくりするほど子供みたいな気分で楽しめた。

レーシックで遠視になってしまったのだから、近くを全く見ないで遠くばかり見る、ジャングルで狩りをするような生活をしていたら、眼は楽になるんじゃないか?

その仮説を実験するため、島での短い滞在中は、一切テレビ・スマホ・パソコン・本などを見ず、室内にいる時間を極力減らし、ひたすらジャングルを散策し、海で泳いだ。さすがに、真っ黒なサングラスと、黒い遮光の水中メガネは外せなかったが。

たった3日しか実験はできなかったが、それなりの効果はあった。

  • 眼の表面の痛みが、若干楽になった。
  • プリズム遠近眼鏡をしないで裸眼にサングラスの状態であっても、眼の痛みが Level 3 以上にはそれほどひどくはならなかった。ただ、もちろん近くはほとんど見えていない。
  • 一時的に眼の表面が痛む事があったが、いつも痛くなる右目ではなく、左目が痛くなった(原因不明)。
  • デパスを全く飲まずに過ごすことができた。
  • 痛みが若干和らいだので、目薬をさす回数も減った。
  • 遠くは良く見えるので、サングラスでジャングル散歩を楽しめた。
  • さすがに、食事時は手元が見えないので、プリズム遠近眼鏡が必要。
  • 南の島は光が強いので、最強に真っ黒のサングラスと、遮光の水中眼鏡が役に立った。遮光水中メガネは結構高かったんだが、投資して良かったわ。

レーシック難民になったら、広大なサバンナやジャングルで、近くを全く見ない、文明から隔離された生活をすると良いのかもしれないが、それは現実的にかなり難しい。ただレーシック後遺症で、もう追いつめられてどうしようもなくなったら、広大な大地や自然しかない場所へいったん逃げるのも有りだ。逃げたから分かることだってある。

...ただ、島から出て都会に戻ってきたら、すっかり眼調は元に戻った。都会のごみごみした空港に降り立った瞬間から、眼の状態が急激に悪化。突然、視界が曇ったように焦点が合わなくなり、眼の周りの筋肉がひきつったようになり、眼の奥の痛みと眼の表面の痛みが同時に発生。眼球を握られているような痛みだ。なぜか、一時的に遠くも近くも見えづらくなった。

とりあえず「自然のなかで遠くのものだけを見る生活をすれば、若干眼の痛みが楽になる。できれば、自然のなかで1日身体を動かしていると良い。」という、どうしようもない実験結果だけを土産に、そろそろ日本へ戻る。

ただね、私はまだ働ける状態だったから、逃げる資金がほんの少しあった。もしも仕事を失くしたら、逃げる事すらできないだろう...