くろねこの涙

レーシック難民になってからの記録

The New York Timesのレーシック後の眼痛の記事翻訳 @Level 4.5

ここ数ヶ月の間に、アメリカやシンガポールなど、海外においても立て続けにレーシックの後遺症に関する記事が発表されています。

今回は、眼の角膜神経痛に関して最新の情報が載っているニューヨーク・タイムズの記事の一部を訳してみました。ニューヨーク・タイムズ誌は日本の五大紙と同じ様な位置づけで、全米では、中立的な記事を書く新聞として人気が高い新聞となります。この新聞に載るというのは、確固たる証拠と取材に裏付けられた記事だということが伺えます。

下記の記事は、レーシック後に起こる後遺症に関して、かなり詳細に書かれたものですので、本来は全記事を翻訳したいところですが、眼に余力が無いもので、私が一番苦しんでいる、眼の疼痛 - 角膜の痛みについての部分のみ抜粋しました。まず、プロでも何でも無い私の適当な翻訳であることを断っておきます。あくまで参考程度にしてくださいね。

 

Dry Eyes or Eye Pain? [ドライアイ、あるいは眼痛?]

レーシック後に発生するドライアイの議論に関して、FDA臨床試験はあまり重要な助けになっていません。多くの患者さんは、"ドライアイ" という名称自体が誤っており、レーシックを受けた後に、長期に渡って発症する激しい眼の痛みを正しく表現していないと言います。

 

2016年にレーシックを受けた、バージニア州リッチモンド在住のSarah Clairさん (26歳) は言います。
「あなたの症状はドライアイです、と言われたとき、それはたいしたことが無いように聞こえるでしょう。」しかし、彼女のドライアイの症状は、当初約束されたように治ることはなく、術後1年後には激痛に変化しました。それはSarahさんに言わせると「誰かが私の顔面を殴ったような」痛みに、激化していったのです。

 

一部の患者さんにとっては、人工涙液や、医師に処方された目薬でしのぐことができる程度の痛みであっても、それ以外の患者さんにとっては、痛みを和らげるために治療を求めてアメリカ全土をかけずりまわる事になるほどの激痛となります。その痛みは、患者さんの言葉でいうと、眼に針やナイフが突き刺さったような痛みで、痛みの緩和には薬が必要となります。

 

クリーブランドの幼稚園の先生であるKatie Endersさん (35歳)は、2006年にレーシックを受け、「眼を紙で切られたような」激痛が残りました。彼女はたくさんの病院を周り、たくさんの鎮痛剤を試しましたが、現在では、腹部に “麻酔薬を常時脊柱内に注入するポンプ” をインプラントすることによって、痛みを和らげています。

 

多くのレーシック外科医は、術後に患者さんに対して長期に発生する激しい痛みには懐疑的か、かなり稀な症状であると言います。しかし、痛みを研究している眼科医は、最近ではそれらの見解は変化しており、多くの手術と同じ様に、レーシックでも、神経疼痛あるいは神経のダメージによって痛みが発生することがある、という考え方に変化してきていると言います。


他の眼の手術、例えば白内障手術でも同じことが発生する場合があるのです。

 

「神経組織を切断するすべての手術において、それは神経にダメージを与えます。それは乳房の手術であっても、眼の手術であっても同じことです。」マイアミ大学のBascom Palmer Eye Instituteの臨床眼科助教授であるAnat Galor医師は言います。

 

「人間には、感覚神経が身体のいたるところにありますが、眼の角膜は身体のなかでも最も神経が支配している器官だと言えます。そのため、神経のダメージに対して、かなり敏感なのです。」

 

彼女のレビュー論文によると、レーシックを受けた人の20%から55%に長期に渡るドライアイが発生しており、長期の定義は術後6ヶ月以上となっています。

 

Galor医師は神経性疼痛になる人の発生率はまだわかっていないと言いますが、Vukich医師は「とても稀な症状だ」としています。

 

タフツメディカルセンター - ニューイングランドアイセンターの臨床研究のディレクターであるPedram Hamrah医師は、眼の神経疼痛の研究を行っており、レーシックで後遺症を発症する可能性が高い患者さんを事前に検出できるよう調査を行っています。

 

その調査によるとリスクの高い人は、「大きな瞳孔の人、薄い角膜の人、角膜の形状が一般的ではない人、角膜に問題のある人や傷のある人、乱視が強い人、強いドライアイの人。また痛みに対して敏感な人で、例えば神経障害を抱えている人や神経疼痛疾患をもつ人、頭痛持ちの人、鬱または不安障害を持っている人」となります。

www.nytimes.com

 

この記事を訳していて思い出したのが、私がレーシックを受けてから、唯一人工的に痛みが劇的に和らいだのは、大腸癌ポリープ検査のために軽い全身麻酔の投与を行った時だったという事です。「眼や身体って、こんなに楽だったのかぁ...」とずっと麻酔を投与してもらいたかった位でした。

この記事にあるように、腹部に痛み止めのインプラントを入れて、常時麻酔を注入する方法があるというのは、(多分、最終手段にはなるかと思いますが) 頭の片隅にいれておきたいと思います。

 

なお、記事の全文に関しては、レンコンさんのブログにも

lasikganni.hatenablog.com

書かれていますので、参照してください。

 

 

... .... まず、西日本豪雨の被害に遭われた方には心からお見舞い申し上げます。何もできない私ですが、辛い目に遭われた方には、本当に肩を抱いて寄り添っていてあげたい気持ちでいっぱいです。

 

私の方は、5月中旬から眼の痛みが悪化してしまい、会社のトイレで痛みで吐きまくったり、会社の非常階段で寝転んで痛みに耐えたりと、なぜか以前よりも症状が悪化してしまいました。

もうダメかなぁ、と非常階段の地べたに絶望的に転がりながら脳裏に浮かぶのは、一緒に戦っている被害者の皆様、私達をどん底から救ってくださった医療問題弁護団のたくさんの先生方自民党三谷英弘先生の顔です。

私が裁判という公の場にこぎつけることができたのも、レーシック被害を都市伝説ではなく、生身の人間に発生している被害だという認識を日本に広めることができたのも、皆様のおかげなのだなぁと。

最終的に、お腹に麻酔のインプラントを入れないと痛みで気が狂う日が来たとしても、私はレーシックの危険性を伝え続けないといけないと思っています。

 

そして最後に、私に間接的に "クーポン券という形でものすごくものすごく遠回りにレーシックを勧めることになってしまった"、私の父。

いつも「裁判もレーシックの被害のことも頑張れよ」と、言葉は少ないですが私を心から支えてくれていることに、猛烈に感謝しています。

 

ありがとう。