くろねこの涙

レーシック難民になってからの記録

レーシック後遺症と、輻輳力 (眼を寄せる力) が弱いという問題 (3) @ Level 3.0

2回に分けて、レーシックをした後に不調を訴える人の多くが、眼の輻輳力に問題が発生しているケースが多いという事を書きました。眼の輻輳力は、眼の調節能力(水晶体の機能)と連動しているそうです。そのため、近くがぼやけるとともに、近くが2重に見えてしまう複視が発生してしまう事があります。人によっては、そのために絶えず視界がゆらゆらしているような感じになり、「眩暈がする」「吐き気がする」「壁が押し寄せてくる」「ふらふらする」「船酔いがずっと続いている感じがする」という症状になる場合もあります。

なぜ、このような現象が発生してしまうのか、医学的にはまだ分かっていませんが (あるいは分かっていて隠ぺいされているだけかもしれませんが ?) 、長らく眼科巡りをしているうちに、ある事が分かりました。

コンタクトレンズによって視力をかなり落とす事により、眼の輻輳力と眼の調節能力が改善されたのです。私の場合は、それが + 2.5 辺りのコンタクトレンズをつけた状態で起こりました。眼鏡の場合は機械での測定が難しいため、コンタクトレンズ限定ですが、視力を 0.6 以下まで落とす事により、急激に眼の輻輳力が回復するというデータが出たのです。要は、かなり近視寄りの近くしか見えない状態にすることで、眼が正常に動き出したのです。さすがの私も、+ 2.0 以上の度数は試したことがありませんでした。 

レーシック後に、眼の輻輳力に問題が発生した場合、ではいったいどうしたら良いのでしょうか。

 

1) トライリリスを導入している病院を探しだし、徹底的に検査をする

トライリリスとは近くを見る能力 (近見反応) や、眼精疲労の度合いを測定する事ができる眼科的な測定機械です。眼が痛い、近くが見えない、眼の表面が痛い、などの主観的な症状を、客観的にデータとして出してくれる、今のところ唯一の測定機械だと言えます。

患者さんは、遠くから近くに何度も移動する物体に焦点を合わせる努力をするだけ。機械が自動的に「いつ焦点が合わなくなったか、瞳孔の動きはどうだったか、眼の緊張状態はどうか、眼の動きはどうか」などを波形で表示し、その形で患者さんの眼の状態を判断する事ができる画期的な機械です。

私は、複数の度数の遠視用コンタクトレンズを装着して、何度もこのトライリリスで測定を行いました。どの度数の組み合わせのときに、眼が一番良い波形を出したかで、その患者さんにベストな度数が分かるのです。機械という第三者的な測定が可能なため、かなり客観的なデータが得られます。そのため、トライリリスで一番良い波形が出た視力度数をベースに、コンタクトや眼鏡の処方を試すことが可能になります。

残念ながら、このトライリリスを導入している病院は非常に少ない状態です。

 

2) トライリリスを試す時、レーシック前の矯正視力が重要な鍵に

レーシックをしたということは、少なくとも近視だったわけです (遠視矯正や老眼矯正の方はすみません、私自身に知識がないのでここでは省かせていただきます)。よほど軽い近視だった場合以外は、眼鏡かコンタクトで矯正をしていたはずです。

レーシック前に、眼鏡・コンタクトでどれくらいの視力が出ていたか。右目と左目で矯正視力に違いがあったか。こちらがとても重要なデータとなります。なぜなら、このデータを元に、トライリリスでの測定を開始するからです。

例えば、私の場合はレーシック前の矯正視力は、右が 0.7、左が 0.5 でした。もちろん、裸眼ではほぼ何も見えない状態です。

私のレーシック前の裸眼視力

右 = 0.05

左 = 0.04

レーシック前、眼鏡で矯正した際の視力

右 = 0.7

左 = 0.5

このように、かなり低矯正 (眼鏡・コンタクトでもかなり近視寄りの状態) で生活していた場合、いきなりレーシックをして1.5 まで見える状態になってしまったら、眼も身体もパニック状態になってしまいます。そのため、私は「レーシック前の矯正視力である 0.5 〜 0.7 が見える程度」という数値を初期設定ガイドラインにして、いろいろな組み合わせのコンタクトを装着し、トライリリスで一番眼が楽な視力の組み合わせを測定しました。

 

3) 眼が一番楽に稼働する視力を測定した後、プリズム眼鏡を試す

レーシック前の矯正視力数値を元に、トライリリスで眼が一番楽な視力を測定した後、プリズム眼鏡、あるいは普通の遠視眼鏡、またはコンタクトを作成するのが一番良いかなと思います。プリズム眼鏡を試してみたい場合には、両眼視機能検査ができる眼鏡屋さんで作成するのが一番です。

人によっては、仕事の都合で近くばかりを見る場合、眼鏡にプリズムが入っていた方が楽な場合もあります。また、レーシック後にコンタクトレンズができなくなってしまう人も居るので、遠視眼鏡・プリズム入り遠視眼鏡・遠近両用眼鏡・コンタクトレンズ、などの選択肢から自分が一番楽な方法を選ぶ必要があります。

私の場合、レーシックをした後、やみくもに眼鏡を試し、眼鏡だけがもう眼鏡博物館ができるくらいに増えてしまいました。最初からトライリリスで測定していたら、無駄な度数の眼鏡がこんなにたくさん増えなくて良かったのではないかと、ちょっと後悔しています。

このデータを元に、私の場合はパソコン作業のときはプリズムが入っていたほうが楽なので、右目 0.6、左目 0.5 位の視力に合わせた近見用の眼鏡を再度作ろうかと思っています...ああ、また眼鏡が増える。

 

...今、仕事で海外に長期滞在しています。この国は広大で、ひとつの建物と建物の間隔が徒歩で 10分。仕事場も広いし、ホテルの部屋も自宅の4倍はあります。また、室内の照明も、蛍光灯が使われていないため柔らかです。なんか眼が楽だなぁ。

運転するときや外を歩くとき、会議でプレゼンを見るときなど、遠方視力がどうしても必要となり、眼鏡を外して裸眼で見る事ができるようになりました。日本では眼鏡を外すと、ものの数分で眼の表面がびりびりと痛むのですが、ここでは遠くだけを見ている場合に限り、1時間位なんとか裸眼で過ごす事ができます。また、眼の激しい痛みにもまだ襲われていません。ただ、別の身体の不調に見舞われ、えらい眼に (じゃなかった) えらい目にあいました。

日本から遠く離れた国に来ても、気になるのは目薬コーナー。この国にもドライアイ用目薬はある程度ありますが、日本より品数は少なく、また「眼精疲労」用の目薬は見当たりません。日本の目薬コーナーは、本当に世界一の品揃えです。うーむ、いったい何が違うのだろう。日本人だけ眼精疲労がひどいっていう訳でもないと思うし、ここの国の眼精疲労の人は、眼科で処方箋目薬をもらっているのかなぁ、謎。