くろねこの涙

レーシック難民になってからの記録

レーシック後遺症訴訟の勝利的和解 & 交流会のお知らせ @ Level 3.0

2019年3月7日、激しい雨がコンクリートを打ち付ける寒い日、私達の闘いは勝利的和解という形で終焉を迎えました。

 

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2015年の10月に「過矯正」(希望している視力よりも遠視よりに角膜を削られることにより、日常生活に支障がでる重篤な後遺症を発症した) というグループで二次提訴を行ってから、私たち原告と医療問題弁護団の先生は土日に何度も集まり、東京地裁にも何度も足を運びました。

医療裁判は、これは体験した者だけが言えることだと思いますが、本当に想像以上に困難で精神的苦痛を伴い、立証やそのタイミングも難しいプロセスとなります。原告にとっては、レーシック後の眼の不具合 ---- 近見障害、異常な眩しさ、眩暈、吐き気、眼の奥の痛み、眼の表面の痛み、眼球を握りつぶされているような痛み、複視、異常なハロ・グレアなどなど ---- は、まさに今ここで発生していることなのに、相手に届かない。

 

痛みはデータにして立証できない。

眼の見え方の問題はデータ化して立証できない。

 

人間はその情報処理の90%近くを眼から行っているというのに、失明やロービジョン以外の、眼の不具合に対するデータ的立証は非常に難しい。その方法が無い。

 

しかし、こんな八方塞がりの状態にあっても、医療問題弁護団の先生方、そもそもレーシック問題を世に投げかけてくださったみたに英弘先生のおかげで、私たちは「勝利的和解」を手にすることが出来たと思っています。

 

しかし、「勝利的」和解ってなんでしょう?

和解に勝つも負けるもあるのでしょうか。

 

今回、勝利的とあえて記述しているのは、かなり被害者側に有利な形での和解にこぎつけることができたからです。主に、ふたつの点があげられると思っています。

 

1) 和解宣言は被告と原告が同席し、東京地方裁判所の一室にて行われます。裁判を担当した裁判官の先生がその席にて所見を述べられるのですが、被害者である原告にかなり寄り添った内容を述べていただきました。

それらの被害は、被告の説明が不十分であるがゆえにもたらされた面があったであろうと思いますし、被告の説明が十分であったならそれらの被害は防ぐことができたであろうと思います。[裁判官の先生の言葉]

 

2) 品川近視クリニックとの、公式な和解条項に下記の条項を加えることが出来ました。

被告は、原告らに対し、今後よりいっそう、レーシック手術などの屈折矯正手術に際して、各患者のライフスタイル、年齢、術前矯正視力を個別に考慮し、完全矯正と低矯正のメリット及びデメリットについて適切な説明を行い、患者に理解させることに努めるとともに、ウェブサイト、患者に交付する同意書及びその他術前説明に関する資料の記載について、本件紛争上指摘された問題点を踏まえ、患者に術後視力の選択にあたり適切な情報を提供するように努めることを約束する。 [和解条項 三項]

補足)

被告 = 品川近視クリニック

原告 = 品川近視クリニックでレーシックを受けて過矯正という重篤な後遺症を発症し、提訴したメンバー

 

この内容ではとても「勝利」だと思えない被害者の方も大勢いらっしゃると思いますが、今現在の日本の司法制度ではこれが精いっぱい、最大限の勝利宣言だと思っています。

 

交流会のお知らせ

2019年5月5日 (日) に東京都内にて、まーるい緑のJR駅近郊にて、定例の?レーシックなどの視力矯正手術後に何らかの後遺症・合併症を発症してしまった方やそのご家族・ご友人などを対象とした交流会を開催する予定です。

次のブログで詳細をアップさせていただきますので、もしご都合が合うようでしたら、ご参加いただければ幸いです。

5月5日の12:00~17:00辺りまで開催予定です。出入り自由です。

詳細は少々お待ちください。二次会もあるよ。

一歩ずつ私たちが回復へ向かう年へ - Step by Step we are getting better @ Level 4.0

Happy New Year & 明けましておめでとうございます。

この2019年という節目の年が、皆様にとってとにかく健康に恵まれ、幸多き年になることを心から祈ります。そして、レーシックの後遺症に悩むすべての人々が、治療や緩和への道筋を見つけることができますように。

 

今年は「挑戦」の年にしてゆきたいと思っています。

長く続いているレーシックの裁判も、佳境を迎えつつあります。またアメリカやカナダではレーシックの後遺症の危険性に注目が集まり、アメリカでの厚生労働省にあたるFDAにおいても、レーシックの注意勧告を引き上げる可能性が高まっています。また、レーシック後に慢性的な眼痛を発症させる角膜神経痛という後遺症が公的に認知され、ボストンのタフツメディカルセンターでは専門の治療機関が設置され、マスコミでも取り上げられるようになりました。

 

レーシック後に後遺症を発症してからというもの、独身で仕事を続けながら、痛みと闘い生計をたてていくのは本当に過酷でした。修行僧のような暮らしをしていても突然襲いかかる痛み。年数がたつにつれて少し症状が緩和されたと心をなでおろしても、いきなり悪化する症状。特に去年は、症状が悪化してしまい、痛みのコントロールレキソタンなどの薬を連用せざるをえない状況になってしまいました。薬の副作用で眠気・集中できない・言葉が出てこないなどの副作用が出てしまい、袋小路に追い込まれ ーー デッドエンド。

 

そんな時に自分を助けてくれた言葉がふたつあります。

 

ひとつめは

Just ask, the worst thing you will get is "No".

素直に人にお願いをしてみたら?最悪な結果はただ "いやだ" って言われるだけの事だよ

 

アメリカで働いていた時に、アメリカ人の親友から言われた言葉です。アメリカ人と比べると自己主張することが苦手な私は、職場でもプライベートでも、自分が必要とする権利や要求を相手に主張したり、お願いする事を躊躇してしまっていました。そんな時に、私の親友が言ってくれた言葉です。勇気をもって自分の要求や権利を主張したとしても、起こりうる最悪のリスクは相手に単にNoと言われるだけ。命をとられるわけでも何でもない。レーシック後遺症の問題を実名で公に訴えようと決意できたのも、きっと親友のこの言葉があったからです。

 

ふたつめは

Step by Step

一歩ずつ

 

眼の痛みで身体の動作に集中することができなくなり、駅のホームでよろよろと線路に落ちそうなとき、眼の痛みでパソコンに表示された文字をおうこともできず吐き気と闘う定時前に上司から追加の仕事を頼まれてキーーーーッとなりそうな時、眼の痛みで家にたどり着く前に力尽き果てて信号の真ん中で泣きわめきそうなとき、「とにかく一歩ずつ」と心で唱えます。文字通り、次の一歩だけに集中する。足を前に出す。足を出して一呼吸をおく、足を出してその場を離れる、足を出してホームの黄色い線から離れる。とにかく次の一歩だけに集中する。その先は考えない。その先を考えると、ホームどころか電車にダイブするだろうし、上司にキレて仕事を失うだろうし、警察に保護されて一生大後悔。

 

... ... くろねこさんはどうやって痛みと闘いながら仕事や生活を続けているのですか、という質問が複数メールアカウントにあったので、ここで回答させていただきました。個別にメールできなくてすみませんっ。

 

あと私の症状が、9年かけて何とか痛み止めや目薬などでぎりぎりコントロールできる程度に落ち着いたというのも大きいと思います。レーシック直後のLevel 5の痛みが永遠に続いていたら、私は多分2019年を迎えることができなかったか、渡米してお腹に痛み止めのインプラントを埋め込む手術を受けていました。

"The Unkindest Cut” : カナダ CTV W5ケーブルテレビのレーシック後遺症特集 日本語翻訳 @ Level 3.6

カナダのCTV W5ケーブルテレビにて、レーシック後遺症特集が組まれたということで、早速、第一弾の日本語訳をあげてみました。

カナダ在住の友人によると、CTV W5は、カナダではメジャーなケーブルテレビチャンネル。カナダでは、若い世代以外はほぼケーブルテレビに加入しているようです。ニュース番組と、ニュース特集 (NHKクローズアップ現代みたいなの??) を主に放映しているチャンネルのようです。

テレビのニュースで「角膜神経痛」が特集として大々的に取り上げられ、レーシック後に複数の人に発生する可能性がある後遺症だと公にされたのは、このCTV W5による "The Unkindest Cut” が初めてなのではないでしょうか。

私は、レーシックを受けて2年後の2012年頃から、自分がこの病気を発症している可能性が高いと思っていたので、今更感はあるのですが、最初に角膜神経痛の研究が行われたアメリカではなくカナダでこの問題が取り上げられたのは、いろいろな意味で、自由で真の民主主義を貫くおおらかなカナダに感謝です。

 

The Unkindest Cut (Part 1)

W5 investigates a rare but painful side effect of laser eye surgery

(稀ではあるが激痛を伴うレーザーによる眼の手術の後遺症についてW5がレポート)

https://www.ctvnews.ca/w5/w5-investigates-a-rare-but-painful-side-effect-of-laser-eye-surgery-1.4141117

ナレーター : 
25歳のクリストファー・オウレットさんは、カナダのモントリオールで2015年にレーシック手術を受けたあと、20/20 (日本で言うところの1.0程度) の視力を得ることができました。
 
しかし術後、焼きつけるような眼の痛みが、絶え間なく生じてしまっています。
「眼を焼かれるような感じで、誰かが眼にナイフを刺しているような痛みです。」
 
 
マルシア キャスター : 
今週のW5ニュースでは、とてもポピュラーですが、破壊的な要素を含むレーザーによる眼の手術、レーシック手術について取り上げます。少人数の患者さんのグループが、稀に発生するとはいえ、激しい後遺症について語ってくれました。身体を消耗させるこの痛みにより、患者さんによっては仕事に大きな影響が発生し、また、自殺を考える人もいます。それではこの後遺症を、詳しくみてみましょう。W5の医療担当記者である、エービス・ファブロさんをよんでみます。エービスさん、おはようございます。
 
エービス記者:
おはようございます、マルシアさん。
 
マルシア キャスター : 
レーシックを語るときに、「人気のある (Popular)」と形容しますよね。確かに人気があります。私達は、たいがいこの眼の手術に関しては成功した話を聞くのですが、今回の後遺症の話はどういったことなのでしょうか?
 
エービス記者:
本当にそうですよね。いろいろな業界の人がレーシック手術を受けています。警察官、救急医療隊員、消防士、パイロットなどの仕事に従事する人が、すでにレーシック手術で視力を改善することにより恩恵を受けており、96%の成功率となっています。彼らは手術に満足しており、96%の人の視力が、レーシックにより改善されたと言ってもよいと思います。
 
この特集は、多くの成功した例を取り上げるのではありません。
 
稀に発生する後遺症についてを取り上げます。マルシアさん、FDA (アメリカの厚生労働省的なもの) が、稀に発生する可能性がある後遺症を受け、レーシックの注意勧告を引き上げる可能性があるという話を聞いたことがありますよね。私達はそれを待っている状態です。
 
私は、プロデューサーのセイント・フィリップさんとともに、カナダでの現状がどうなっているのか電話での調査を行ったのですが、驚いたことに、すぐにレーシック後に慢性的な眼痛を発症している複数のカナダ人に出逢うこととなりました。眼の痛み、頭痛、先程のクリストファーさんが訴えているように眼にナイフが刺さっているような痛み...それによって仕事を続けることが困難になってしまった人もいます。焦点を合わせることができない、PCなどのスクリーンを長い間見ていることができないのです。
 
私達が調査を行うと、彼らは眼には全く問題なく、確かに視力は出ているので、医療機関では「それは気のせいだ」と言われていました。しかし、この後遺症に関しては研究が行われており、この痛みのコンディションに関しては「角膜神経痛」という診断が行われていることを突き止めました。
 
マルシア キャスター : 
それは何ですか?
 
エービス記者:
角膜神経痛の研究は、アメリカのボストンで行われています。その角膜の専門家は、レーシックや白内障の手術のあとに慢性的な眼の痛みを訴える、たくさんの患者さんを診察しています。眼を切ったすべての場合において、新しいタイプの顕微鏡にて精密検査を行うと、神経が手術により切断されていることが分かります。通常は、時間とともに神経が正常に修復されて傷が癒えるので、それなりの成功率があるとされています。
 
しかし、それ以外の人々においては、神経が修復されずに切断されたままで死滅してしまったり、または正常に修復されず異常な形態で成長してしまいます。これらが、慢性的な眼痛を引き起こす原因だと考えられています。
 
問題は、後遺症を訴える人々が医療機関にかかっても、眼自体には全く問題がないために、単なるドライアイと診断されていることです。ドライアイは良性の病気なのですが、本当は、角膜神経痛を発症している可能性があるのです。角膜神経症を発症している人がどの程度いるのかは、まだ把握できておらず、どの確率で発生しているのかもわからない状態です。
 
マルシア キャスター  : 
治療方法はあるのでしょうか?
 
エービス記者:
後遺症患者さんは、いろいろ試しています。アメリカのボストンのクリニックなど、アメリカでは治療が進んでいます。治療方法のひとつは、自らの血液から作成される血清点眼で、神経の修復に効果があるとされています。また、プラセンタ (胎盤) の組織が神経の修復に効果があるともされています。
 
とある女性は、痛みに耐えられず腹部に痛み止めのポンプをインプラントして、頭痛などの痛みの治療を行っています。かなり酷い状況だと言えますね。
 
マルシア キャスター  :
Oh my gosh...なんてことでしょう。
 
エービス記者:
本当にそうですよね。これらの症状は稀に発生するものではあるのですが、多くの人が自分の眼の痛みが本当は別の病気であることを知らず、眼科医もその病名を知らずに患者に何が発生しているのかを理解していません。
 
ただし、研究の結果によるとレーシック手術など、緊急ではない手術の一部が、これらの症状の原因のひとつである可能性が高いことが分かってきています。人々はそれを知っておく必要があると思います。
 
マルシア キャスター  :
ありがとうございます。
これから特集をみることを楽しみにしています。本当に知らなかったわ...
 
エービス記者:
マルシアさん、そうは言っても多くの人は成功しています。ただし、専門家は後遺症を発症する人の要因が何なのか、それが不明なことを問題視しています。
 
術式が悪いのか、患者本人に要因があったのか…神経の修復になにか問題があったのか、環境に要因があったのか、服用していた薬に問題があったのか、それ以外になにか要因があるのか?どうやって、疼痛症候群の後遺症を発症する人を、事前にスクリーニングできるのか?どうやって医者は事前に、それらを即座に判断することができるのか。私達の特集に登場する人々は、痛みは気のせいだよと、医者に言われ続けていた人々です。
 
そのため、後遺症に苦しむ人々は、鬱を発症し、自殺も考えてしまう状況に追い込まれています。
 
角膜神経痛の治療法は開発され始めています。人々は、まず自分の眼の痛みが角膜神経痛ではないかという気づきを与えられる必要があると思うのです。痛みが慢性化してしまう前に病名を知り、治療に結びつけることができたらと思っています。
 
マルシア キャスター  :
W5にとっても、とても重要な特集ですね。エービス記者さん、ありがとうございました。"The Unkindest cut (無情な切断?)” 特集は、土曜日の朝7時から、CTVにて放映されます。

 

 

やっと私の苦しみを放映してくれるテレビ特集が登場した... ... 

ということで、早速適当に日本語訳してしまいましたが 、内容に責任は持てません。しかし、ニュアンスは伝わったかと思います - 私も痛みから開放されたいのです。

そして、私がこの9年近く疑問に思っていること「後遺症を発症する人の要因が何なのか、レーシックにおいてはそれが全く解明されていないのに未だに認可されていること」それこそが最大の問題であることを取り上げてくれたことを感謝しています。

特集はさらに続くので、また機会をみて訳をあげてみようと思います。

 

 

... ... 私の方はしばらく日本やら東京を離れていました。

Uber (ウーバー)という、白タクサービスを使いながら買い物に出たり通勤。(Uberの白タクサービスは日本では認可されていません)

iPhoneなどのアプリから白タクを呼び、呼んだ場所に自家用車がお迎えが来てくれます。アプリに表示された車のナンバープレートでお迎えの車を識別しなくてはならないので、眼が不自由な私は、どれが自分を迎えに来てくれた車か分からずオロオロするかと、今まで一人の時はUberを使う事を避けていました。

 

今回は長期滞在で、かつ、とても不便な場所にホテルがあったのでUberにトライしてみました。不安はなんのその、ちゃんと運転手さんが電話で誘導してくれます。「へい!今近くにいるぜ!白っぽい大きなバンは見えるかい!分からなかったら、右手を大きく振ってくれたら目の前までUターンして行くぜ!」という具合。なーんだ、もっと早く使っていれば良かった。

 

iPhoneなどの最新技術を最大限に活用し、それを楽しみながら、眼の障がいを乗り越えている先駆者といえば、眼瞼痙攣で苦しむくるみさんです。私の場合、眼の障がいを発症してから、IT業界に居ながらも心が拗ねてしまって、iPhoneなどのスマホや最先端ITサービスを遠ざけてしまっていました。

しかし、くるみさんに出逢ってから、「よし、いろんなサービスをまず使ってみよう!活用してみよう!」という気持ちに変わりました。まず、やってみよう。試してから判断しよう。使いづらかったら辞めればいいし。眼に障がいがあるからこその、前向きな指針を示してくれたのは彼女です。

くるみさんが、新しい眼瞼痙攣の会を立ち上げたので、ここで宣伝です。レーシック難民の方も、参加資格があります。

 

みんなで勝ち取る眼球困難フロンティアの会(G-frontier) – 会員みんなが運動メンバーとなり、代表立川くるみと共に制度の谷間『眼球使用困難症』患者の正当な権利獲得を目指す会

 

レーシック後の眼痛、角膜神経痛のアメリカの症例続報 @ Level 4.0

前回の、The New York Timesの記事を翻訳紹介したブログにて、腹部に「麻酔薬を常時脊柱内に注入するポンプ」をインプラントすることで、レーシック後の眼の痛みを緩和させた女性を取り上げました。

彼女の治療に関するニュースが、アメリカのオハイオ州クリーブランドのテレビ局で取り上げられましたので、ここで、くろねこの非常に勝手な日本語適当訳とともに紹介させていただきます。

 

試験的治療が、レーシック後遺症を治癒するかもしれない

www.wkyc.com

ニュース本体は英語のものなので、勝手にくろねこが日本語に訳してみました。多分間違っている部分もありますので、参考までにしてください。

勝手日本語訳 by Kuroneko the Black Cat:

(sorry if my Japanese translation is misleading :)

 

男性アナウンサー:
それでは、メディカル関連のニュースをお知らせします。
およそ1000万人のアメリカ人が、視力を良くするためにレーシック手術を受けています。確かに視力は良くなるかもしれませんが、安全性に関する認識の誤解があることが分かってきました。シニア・レポーターのモニカ・ロビンさんが、レーシック後の後遺症によって数年苦しみ、結果としてオハイオ州のユニバーシティ・ホスピタルにて試験的治療を頼ることになってしまった女性の取材を行いました。

 

モニカ記者:
Katie (ケイティ) さんは、単に眼鏡やコンタクトで煩わされることが無くなるという理由で、2006年にレーシック手術をうけました。確かの彼女の視力は良くなりましたが、予測していない恐ろしいことが発生してしまいました。

 

ケイティさん:
レーシック手術の直後から、眼に激しい痛みが発生しました。最初は、それはドライアイだと言われていて、時間とともに治っていくと言われました。

 

モニカ記者:
しかし、その痛みは逆に悪化していきました。

 

ケイティさん:
ナイフが24時間刺さっているような痛みです。

 

モニカ記者:
ケイティさんは角膜神経痛を発症していると言われました。レーシック手術による神経の損傷です。レーシックにより角膜神経を切断することによって発症する後遺症ですが、この症状が発症する患者さんは非常に少なく、また時間とともに治癒していく場合が多いのですが、ケイティさんのように持続的に痛みが残ってしまう場合があります。

 

ケイティさん:
もう8年、私はこの痛みに苦しんでいて、何もできませんでした。

 

モニカ記者:
彼女は、数えきれないほどの医療機関にかかりました。しかし、どの目薬も治療も効きません。何年も苦しみ続けた彼女は、もう頑張ることを放棄したくなってしまいました。

 

ケイティさん:
もうこんな風に生き続けていくのは限界だと思いました。私は自分の命を絶つ寸前の状態でした。

 

モニカ記者:
そこで彼女は、疼痛治療の専門家であるセリーン・ハイアック医師を訪ねました。彼は、重度の腰痛などに苦しむ患者さんに対し、Pain Pump (痛み止めのポンプ) を [腹部に] インプラントしています。しかし、ケイティさんのように眼の痛みに苦しむ患者さんにインプラントを行った経験はありませんでした。違いは、痛み止めの薬を注入するカテーテルを、脊椎のどの位置に配置するかです。

 

ハイアック医師 :
このように、脊柱の上部に薬が届くようにします。

 

モニカ記者:
現在では、University Hospitalがこのように顔の神経の痛みに苦しむ患者さんに効果のある治療法を提供している唯一の機関です。

 

ハイアック医師 :
公開された彼女の症例報告を見て、世界中から問い合わせがあります。

 

モニカ記者:
なぜなら、顔や眼の神経による激しい痛みを発症している患者さんにとって、これ以外の治療法が今のところ無いからです。

 

ケイティさん:
この治療で本当に救われました。やっと自分の人生を取り戻したような気がしていて、この治療に感謝しています。

 

モニカ記者:
ケーススタディにより、やはりレーシックを受ける前にきちんと後遺症の説明を受けることが重要なのが分かりましたね。ケイティさんのケースはそれを裏付けるものだと思います。

 

男性アナウンサー:
ケイティさんの痛みは完全に無くなったのですか?

 

モニカ記者:
いいえ。100%ではなく、75%程度良くなったと彼女は言っています。しかし、彼女本人にとっては本当に大きな改善でした。現在の彼女は、強い匂い、ほこり、風、煙などにさらされると、眼の痛みが急激に悪化してしまいます。しかし、激痛が発生した時には、手元のリモート端末から、痛み止めの注入を自分でクリックする事で、薬の注入を自ら行うことができ、痛みをしのいでいます。

 

男性アナウンサー:
レーシックは100%安全で問題がない手術だというのは、やはり誤解だったということですね。

 

モニカ記者:
ケイティさんのケースでは、確かにレーシックは視力を良くしましたけれど、ドライアイなどの後遺症による痛みが想定を超える場合もあるようですね。ケイティさんの場合は、本当にひどい状況になってしまいました。

 

...私は、レーシック直後から、とにかくとにかく、眼の表面の痛み・眼の奥の痛みに苦しんでいます。ケイティさんとまったく同じパターンです。この苦しみから逃れることができるなら、死んでも良い位です(かなり矛盾していますが)。

 

私がレーシック直後、痛みにのたうち回ってゲロを噴射していた頃、日本でもアメリカでも「角膜神経痛」という病名はなかば都市伝説のような存在でした。それが今、アメリカでも公に報道されるほど、公な問題になりつつあります。残念ながら、私は今でも眼の痛みでゲロを噴射して、会社でお荷物扱い、かも....

 

もはや健常者ではありません。

 

お腹に、痛み止めを常時脊椎に注入するデバイスを埋め込むリスクをおってまで、レーシックを受けたいですか?

The New York Timesのレーシック後の眼痛の記事翻訳 @Level 4.5

ここ数ヶ月の間に、アメリカやシンガポールなど、海外においても立て続けにレーシックの後遺症に関する記事が発表されています。

今回は、眼の角膜神経痛に関して最新の情報が載っているニューヨーク・タイムズの記事の一部を訳してみました。ニューヨーク・タイムズ誌は日本の五大紙と同じ様な位置づけで、全米では、中立的な記事を書く新聞として人気が高い新聞となります。この新聞に載るというのは、確固たる証拠と取材に裏付けられた記事だということが伺えます。

下記の記事は、レーシック後に起こる後遺症に関して、かなり詳細に書かれたものですので、本来は全記事を翻訳したいところですが、眼に余力が無いもので、私が一番苦しんでいる、眼の疼痛 - 角膜の痛みについての部分のみ抜粋しました。まず、プロでも何でも無い私の適当な翻訳であることを断っておきます。あくまで参考程度にしてくださいね。

 

Dry Eyes or Eye Pain? [ドライアイ、あるいは眼痛?]

レーシック後に発生するドライアイの議論に関して、FDA臨床試験はあまり重要な助けになっていません。多くの患者さんは、"ドライアイ" という名称自体が誤っており、レーシックを受けた後に、長期に渡って発症する激しい眼の痛みを正しく表現していないと言います。

 

2016年にレーシックを受けた、バージニア州リッチモンド在住のSarah Clairさん (26歳) は言います。
「あなたの症状はドライアイです、と言われたとき、それはたいしたことが無いように聞こえるでしょう。」しかし、彼女のドライアイの症状は、当初約束されたように治ることはなく、術後1年後には激痛に変化しました。それはSarahさんに言わせると「誰かが私の顔面を殴ったような」痛みに、激化していったのです。

 

一部の患者さんにとっては、人工涙液や、医師に処方された目薬でしのぐことができる程度の痛みであっても、それ以外の患者さんにとっては、痛みを和らげるために治療を求めてアメリカ全土をかけずりまわる事になるほどの激痛となります。その痛みは、患者さんの言葉でいうと、眼に針やナイフが突き刺さったような痛みで、痛みの緩和には薬が必要となります。

 

クリーブランドの幼稚園の先生であるKatie Endersさん (35歳)は、2006年にレーシックを受け、「眼を紙で切られたような」激痛が残りました。彼女はたくさんの病院を周り、たくさんの鎮痛剤を試しましたが、現在では、腹部に “麻酔薬を常時脊柱内に注入するポンプ” をインプラントすることによって、痛みを和らげています。

 

多くのレーシック外科医は、術後に患者さんに対して長期に発生する激しい痛みには懐疑的か、かなり稀な症状であると言います。しかし、痛みを研究している眼科医は、最近ではそれらの見解は変化しており、多くの手術と同じ様に、レーシックでも、神経疼痛あるいは神経のダメージによって痛みが発生することがある、という考え方に変化してきていると言います。


他の眼の手術、例えば白内障手術でも同じことが発生する場合があるのです。

 

「神経組織を切断するすべての手術において、それは神経にダメージを与えます。それは乳房の手術であっても、眼の手術であっても同じことです。」マイアミ大学のBascom Palmer Eye Instituteの臨床眼科助教授であるAnat Galor医師は言います。

 

「人間には、感覚神経が身体のいたるところにありますが、眼の角膜は身体のなかでも最も神経が支配している器官だと言えます。そのため、神経のダメージに対して、かなり敏感なのです。」

 

彼女のレビュー論文によると、レーシックを受けた人の20%から55%に長期に渡るドライアイが発生しており、長期の定義は術後6ヶ月以上となっています。

 

Galor医師は神経性疼痛になる人の発生率はまだわかっていないと言いますが、Vukich医師は「とても稀な症状だ」としています。

 

タフツメディカルセンター - ニューイングランドアイセンターの臨床研究のディレクターであるPedram Hamrah医師は、眼の神経疼痛の研究を行っており、レーシックで後遺症を発症する可能性が高い患者さんを事前に検出できるよう調査を行っています。

 

その調査によるとリスクの高い人は、「大きな瞳孔の人、薄い角膜の人、角膜の形状が一般的ではない人、角膜に問題のある人や傷のある人、乱視が強い人、強いドライアイの人。また痛みに対して敏感な人で、例えば神経障害を抱えている人や神経疼痛疾患をもつ人、頭痛持ちの人、鬱または不安障害を持っている人」となります。

www.nytimes.com

 

この記事を訳していて思い出したのが、私がレーシックを受けてから、唯一人工的に痛みが劇的に和らいだのは、大腸癌ポリープ検査のために軽い全身麻酔の投与を行った時だったという事です。「眼や身体って、こんなに楽だったのかぁ...」とずっと麻酔を投与してもらいたかった位でした。

この記事にあるように、腹部に痛み止めのインプラントを入れて、常時麻酔を注入する方法があるというのは、(多分、最終手段にはなるかと思いますが) 頭の片隅にいれておきたいと思います。

 

なお、記事の全文に関しては、レンコンさんのブログにも

lasikganni.hatenablog.com

書かれていますので、参照してください。

 

 

... .... まず、西日本豪雨の被害に遭われた方には心からお見舞い申し上げます。何もできない私ですが、辛い目に遭われた方には、本当に肩を抱いて寄り添っていてあげたい気持ちでいっぱいです。

 

私の方は、5月中旬から眼の痛みが悪化してしまい、会社のトイレで痛みで吐きまくったり、会社の非常階段で寝転んで痛みに耐えたりと、なぜか以前よりも症状が悪化してしまいました。

もうダメかなぁ、と非常階段の地べたに絶望的に転がりながら脳裏に浮かぶのは、一緒に戦っている被害者の皆様、私達をどん底から救ってくださった医療問題弁護団のたくさんの先生方自民党三谷英弘先生の顔です。

私が裁判という公の場にこぎつけることができたのも、レーシック被害を都市伝説ではなく、生身の人間に発生している被害だという認識を日本に広めることができたのも、皆様のおかげなのだなぁと。

最終的に、お腹に麻酔のインプラントを入れないと痛みで気が狂う日が来たとしても、私はレーシックの危険性を伝え続けないといけないと思っています。

 

そして最後に、私に間接的に "クーポン券という形でものすごくものすごく遠回りにレーシックを勧めることになってしまった"、私の父。

いつも「裁判もレーシックの被害のことも頑張れよ」と、言葉は少ないですが私を心から支えてくれていることに、猛烈に感謝しています。

 

ありがとう。

進化とはわからないほどにゆっくりと @ Level 3.5

レーシック術後の強度ドライアイや眼精疲労の後遺症に関し訴訟をしていたグループが、3月22日に、勝利的和解を勝ち取りました。原告の皆様は重い後遺症を抱え、そのうえ裁判の準備など苦労がたえなかったと思います。

本当にお疲れ様でした。

 

皆様のお陰で、まだ裁判中である私達も勇気をいただくことができました。

www.bengo4.com

 

 

... ... 私の眼は見えづらくなってきている。

私の場合、後遺症がレーシック後の眼の表面と奥の痛みが主な症状なので、見え方に関してはぶっきらぼうな言い方をすると「二の次」。とにかく痛みが治れば人生は改善すると思っていたし、今も思っている。しかし、レーシックをしてからほぼ8年がたち、痛みは確かに少し和らいできたが、痛みの谷間の瞬間、劇的に視界が悪くなっている事に気づく。

 

会社で8と6や3と8の数字を間違えて迷惑をかける、エレベーターの閉と開の漢字が読めなくて目的とは別のボタンを押し続けている、というのは序の口で、今では、電車の行き先を示す電光掲示板の文字が光りまくって読めず、もう自分で確認することを諦め、音声案内に頼ったり、知らない場所では駅員さんに最初から聞くことにしている。デパートなどで洋服を選ぶことは遠い昔に諦めた。もっぱらオンラインの通販に頼りきり。

見え方の問題であれば眼鏡を調整すれば良い、と思うかもしれないが、それがどうも簡単ではない。日によって眼位 (眼のずれ) が異なり、羞明 (眩しさで痛みが悪化する) がひどい、眼の調節機能もほぼ無いので、結局、仕事を優先してパソコンが見えやすい眼鏡に頼るしかなくなってしまう。遠方視力を出す眼鏡を使用すると、30分程度で激しい眼の痛みに襲われる。

 

まぁこんな暮らしを数年続けていたら、不思議なことに気がついた。

見ることを諦めた代わりに、他の感覚が少しずつ向上してきたのだ。臭いや匂い、雰囲気、勘、触覚、音、流れみたいなものだろうか、それをキャッチする脳のシナプスが不思議な関わりを持つようになった。

 

先月、レーシック後初めて映画館へ足を運んだ。

案の定、開始から30分もたたない時点で眼が痛くなり始め、画面を追うのが難しくなってきた。少し眼を閉じたりしながら画面を追うのをあきらめ、

ただ映画の雰囲気や音声や色に感覚を合わせていた... ... ...

すると視覚以外のところで、映画に焦点があったのだ。この「水の形」はこの「気持ち」を現していたのだとか、特定の音楽や色が意味するものとか、それを触覚のようなもので理解することができ、とあるイメージが別の個人的な記憶や音楽などと瞬時につながり、何か自分でも少し自分の身体の変化に驚いた。

 

人はひとつの能力が衰えると、

それを別の能力や感覚が補うのだと。

ただし、

痛みはそれを瞬時に奪い去る。

 

 

さて、GWに入り「交流会は、今年はやらないのですかぁ」というお問い合わせを何件かいただきました。本当にすみません。仕事が忙しすぎたり体調を崩したりと、気がついたらもう4月になってしまっていて、交流会の企画をする余裕がありませんでした。

他の被害者会のメンバーさんと日程を調整しながら、また交流会を企画しますので、ゆっくりとお待ちいただければ幸いです。


固まった砂糖を簡単な方法でサラサラにするように @Level 3.0

Happy New Year & 明けましておめでとうございます。

すべてのレーシック難民、そして様々な病気を抱えた方にとって、少しでも痛みなどの症状が快方に向かい、次の日朝起きるのが楽しみになるような、そんな毎日が迎えられますように。

 

ひとつだけ良い報告をしよう。

レーシックを受けてから8年程たち、眼の見え方は劇的に悪くなった (遠くも近くも裸眼では見えなくなった) が、眼の痛みは楽になった。術後の痛みを100とした場合、現在の痛みは、日によってかなり変動があるが40から60位のふり幅で落ち着いている。目薬や頓服は使用し続けているため、薬のコントロールが上手くできているのかもしれない。ただ、のたうち回って救急車を呼ぼうかとスマホを握りしめるような痛み、からはほぼ開放された。

 

痛みは暴力だ。

この8年、この眼痛と闘い続けて心からそう思う。痛みは突然日常の一コマに侵入し、身体と心を破壊する。今まで優しかったパートナーから、笑顔でいきなり拳骨で殴られるように、それは不可解で、逃げる隙さえ与えない。殴られ続けている時に、目の前に倒れている人を助けられないように、自分の身なりや将来の夢、銀行口座の残高などを考えることなど不可能なように、痛みは人から人間の魂や尊厳を一瞬で奪いつくしてゆく。

 

そして人は暴力に慣れてゆく。

痛みという暴力を飼いならす術を、身に着ける。DVの被害者が、パートナーの拳骨がいつとんでくるか、どのような場面で機嫌が悪くなるかを段々雰囲気で読めるようになるように...痛みの刃がとんでくる状況・時間・体調を段々予測できるようになる。ちょっとした予兆 --- 風が強い、太陽が低い、車での移動が多かった、塩分の多い食事をとった、会議が多かった --- を無意識のレベルで感知し、事前に痛みの薬を飲んだり、仕事を抑えたりする術を身に着ける。よって、生活の幅はどんどんと狭くなる。光のささない道で出勤、太陽の入らない側で電車のつり革を持ち、締め付ける服や冷えるスカートは避け、人の少ない裏通りを選び、仕事の後に余計な予定を一切入れず、野菜を多く食べ、必ず11時までにはベッドに入る。

まるで入院患者のような毎日。それが、痛みを飼いならすという事だ。

 

 

 

そして心は荒んでしまった。

 

 

 

2017年。

たまたま突拍子もない機会があり、世界で一番入国が難しいと言われる国を訪れた。最初は躊躇していたが、旅行好きとしてはこの機会を逃すこともできず、片道20時間以上かけてその国を訪ねた。観光地めぐり、スポーツ観戦、映画、ミュージカル、美術館、パーティー --- それは眼を壊してからの私にとっては、「行ってもあまり意味のない」行動だったわけで。

しかしその国で、私はそれらの思い込みを覆すことになる。

眼が不自由でも、楽しめる。その場に居るだけで、感じることができる。「体験」とは良く言ったもので、眼で見て理解して楽しむ代わりに、身体全体で経験して感じて受けて楽しむことが出来るのだ。

障がい者に多分世界で一番優しく、そして女性の入国が世界一厳しい国。そこで出逢ったすべての人に感謝する。

 

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海の向こうはエジプトとかスーダン

 

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これで訪問国が分かるはず?

 

※本当にこの国の方は優しかったです... 車椅子の方と一緒に訪問したのですが、全く見知らぬ人がいろいろな場面で手を差し伸べてくれ、本当に感謝しています。これは実際に行かないと分からないことですね。

 

2018年も引き続きよろしくお願いいたします。

 

P.S.

なんで今回のブログがこんなタイトルなのかというと、冷蔵庫で岩石のように固まったままの砂糖をどうにかできないかと調べていたら、思いもよらない方法で、1日にしてサラサラにすることができたので、心の荒みもこんな感じなのかなと。ちなみに解決方法は、砂糖に水を少し振りかけて冷蔵庫で1日寝かすだけ。でした。