くろねこの涙

レーシック難民になってからの記録

インフォームド・コンセントについて @ Level 4.5

インフォームド・コンセント(英: informed consent)とは、「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念。特に、医療行為(投薬・手術・検査など)や治験などの対象者(患者や被験者)が、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け十分理解した上で(英: informed)、対象者が自らの自由意思に基づいて医療従事者と方針において合意する(英: consent)ことである(単なる「同意」だけでなく、説明を受けた上で治療を拒否することもインフォームド・コンセントに含まれる)。説明の内容としては、対象となる行為の名称・内容・期待されている結果のみではなく、代替治療、副作用や成功率、費用、予後までも含んだ正確な情報が与えられることが望まれている。また、患者・被験者側も納得するまで質問し、説明を求めなければならない。

Wikipediaから引用

2年前の事、私の叔父の話です。

叔父は心不全の疑いがあるということで、心臓カテーテル検査を受けることになりました。検査前には家族立ち合いのもと、患者への説明会があるということ。ちょうど夜勤が続いていて昼間の時間が空いていた私が、叔父と一緒に検査前説明を受けることになりました。たかが検査ごときで大げさなーと、私は指定された日時に叔父と一緒に病院へ。

説明会は病院の会議室で行われます。同じ日程でカテーテル検査を受ける患者さんとその家族への合同説明会です。レーシックでもこんな合同説明会あったなぁ、と残念な記憶を反芻していたのですが...内容は全く違いました。

説明担当の生身の先生は、心臓や人体の模型を使いながら、素人にも分かりやすいように検査方法を説明。現場で使用するカテーテルを実際に会場に持ってきて、患者さんや家族に手渡し、納得がいくまで触らせて「これが手首や足の付け根の血管から入るんですよ」と説明してくれます。

そのあと、紙が配られ、その内容が私にはちょっと衝撃でした。「検査後の後遺症に関する説明」と書かれたその紙には、

  • 当院でカテーテル検査を受けたXXXXXX名のうちXXX名が、XXXという後遺症を発症しました。
  • 当院でカテーテル検査を受けたXXXXXX名のうちX名が、XXの原因により帰らぬ人となりました。
  • カテーテル検査のXXXという後遺症により、XXXの業務に司る人のxx%が、XXヵ月仕事に復帰できないという報告がありました。

などなど、検査の後遺症に関する情報がその病院の実際の過去データに基づいた形で、3ページ以上にわたって記載されていたからです。

合同説明会が終わった後は、個室にて個別の相談とアドバイスが行われます。その患者さんの検査を担当する執刀医が「ちゃんと目の前で、生身で、顔を見ながら」患者さんや家族の不安などに丁寧に答えてくれました。「私は腰が痛いから、足からのカテーテルじゃなくて、できれば手からやってほしい」、「こんな怖い検査を受ける必要が本当にあるんんだろうか?」、「この後遺症に私がなっちゃう危険性は?」、「本当に先生が執刀してくれるの?麻酔かけたら研修生にバトンタッチとかないよねぇ?」そんな悩みに、患者さん本人の心臓の3D画像などを使いながら、きちんとデータに基づいたアドバイスをしてくれました。

検査を受けるかどうかも、患者さんとその家族が納得いくまで、決断に時間を費やすことができます。もちろん、重症患者さんの場合は、ある程度期日が決められていましたが。

叔父は結局、その病院で検査と心臓カテーテルの手術を実施。いまでも定期検査をしてもらっており、担当医さんとは良好な関係を築き上げているようです。

...叔父が手術を受けた病院で初めて、私は「インフォームド・コンセント」がどのようなものなのかを学んだような気がします。

(下記、緊急事態ではない状況に限りますが)

各クリニックや病院が関わった手術のなかで、どれだけの割合の人がどんな後遺症を発症したかを患者さんや家族と共有する。後遺症によって、どのような問題が発生したか、仕事や生活にどのような変化が生じたのかを共有する。リスクやメリットをすべて明らかにしたうえで、ある程度の時間をかけて、患者さん自身に検査・手術を受けるかどうかを選択してもらう。担当医が、検査・手術・術後の定期検査までを徹底的に担当し、性格が合わなければ、患者も先生も担当変更のリクエストができる。

そんな「インフォームド・コンセント」のプロセスが、一部のレーシック・クリニックでは「サービスを受ける側が納得のいく形で」行われていないように思います。もちろん、インフォームド・コンセントが納得のいく形で行われているレーシック実施医院もあります。